台湾における脱蒋介石化の最大の焦点となってきたのが、台北市中心部に鎮座する中正紀念堂です。高さ約6.3メートル、重さ約21トンを誇る巨大な蒋介石ブロンズ座像が置かれた大堂ホールは、長年、陸海空軍の儀仗兵による厳格な警護の対象となっていました。
国防部と文化部の公式発表資料によると、2024年7月を画期として儀仗兵の警備任務は劇的な転換を迎えました。それまで座像の両脇で直立不動の姿勢を保っていた衛兵の哨所が完全に撤収され、観光名所であった交代式の演武は堂内から屋外の「民主大道」へと場所を移しました。これは「特定の個人に対する個人崇拝・神格化の儀礼を終わらせる」という明確な政策判断によるものです。
現在の中正紀念堂を訪れると、巨大な座像はそのまま残されているものの、かつて漂っていた厳粛な威圧感は和らぎ、見上げる観光客の視線にも変化が見られます。座像そのものを撤去・移設すべきか、あるいは歴史の負の遺産を伝える教育施設として空間ごと再編すべきかという議論は、今なお文化部や有識者委員会の間で慎重な調整が続けられています。