不祥事の発覚直後、投資家や株式市場がどのように反応したのかも重要な検証ポイントです。結論から言えば、過去の横領や個別社員の逮捕事案が報じられた際、セコムの株価は一時的な下落を見せたものの、中長期的な業績を根底から揺るがす致命的な下落トレンドには至りませんでした。
この強靭な耐性の背景には、セコムが築き上げた独自のビジネスモデルがあります。警備業は初期費用だけでなく、月額利用料が毎月安定して入るストックビジネスの典型例です。法人ビル管理や金融機関の基幹インフラ、戸建て住宅のホームセキュリティまで強固に張り巡らされており、一部の不祥事があったからといって「明日すぐに他社へ乗り換える」ことが構造的に極めて難しいというスイッチングコストの高さが株価を支えました。
しかし、警備業界全体に目を向けると、業界全体のイメージダウンは避けられませんでした。警備業法に基づき都道府県公安委員会の指導・監督を受ける警備業において、大手トップの不祥事は指導監督の厳格化を招きました。各社はコンプライアンス規程の改定を余儀なくされ、コンプライアンス維持のための管理コストが年々増加する要因となっています。