牛すじ煮込みが固くなったり、特有の獣臭が残ったりする原因は、下処理の工程にあります。牛すじの主成分である結合組織(コラーゲン)は、85℃以上の温度帯で長時間をかけて加熱することで初めて水溶性のゼラチンへと変性し、とろけるような柔らかさへと変化します。
家庭でプロ級の仕上がりを目指す際、絶対に省略してはならないのが「2段階の茹でこぼし」です。この一手間をかけるだけで、余分な酸化脂質や血抜きが完璧に行われ、透き通った旨味だけが残ります。
失敗を防ぐ下処理の4ステップ
1. 初回の下茹で(アク出し):大鍋にたっぷりの水と牛すじ(生肉のまま)を入れ、中火にかけます。沸騰したらブクブクと黒ずんだアクが浮き出てくるため、強火で約5分間グラグラと煮立たせた後、一気にザルにあけて湯を捨てます。
2. 流水での丁寧なもみ洗い:ザルにあげた牛すじを流水にさらしながら、表面に付着したアクや余分な脂の塊、細かい筋膜を手でしっかりと洗い流します。鍋の内側についたアクも綺麗に洗っておきます。
3. 2回目の本茹で(軟化と香りづけ):綺麗にした鍋に牛すじを戻し、たっぷりの水、長ネギの青い部分(1〜2本分)、薄切りにした生姜(1片分)、日本酒(100ml)を加えます。沸騰後は弱火に落とし、ペーパータオル等で落とし蓋をして1時間〜1時間半じっくり煮込みます。竹串がスーッと抵抗なく刺さる硬さが目安です。
4. 一口大へのカット:肉が柔らかくなった段階で取り出し、一口大(3〜4cm角)に切り分けます。生の状態で切るよりも繊維が崩れにくく、均一な大きさに切り揃えることができます。