久能山東照宮をめぐっては、インターネット上でいくつかの誤解や不正確な情報が流通しています。現地を訪れる前に知っておくべき3つの盲点を整理します。
第1の誤解は、「日光東照宮が完成したため、久能山には家康の遺骨は残っていない」という言説です。江戸幕府の公式記録『徳川実紀』等でも改葬の儀礼について触れられていますが、久能山側では「遺骸を改葬したという確たる記録は存在せず、魂を日光に勧請したのみで、神体(遺骸)は今も神廟の下に鎮座している」と一貫して伝えられています。学術的にも遺骨の完全移転を裏付ける決定的な発掘調査等は行われておらず、「魂の日光、肉体の久能山」として両者が不可分の尊厳を保っているのが実態です。
第2の盲点は、「日本平ロープウェイを使えば階段を一切歩かずに参拝できる」という思い込みです。ロープウェイの久能山駅から社殿までは平坦ではなく、境内に入ってからも約100段の急な石段を登る必要があります。バリアフリー化が困難な山城の構造を残しているため、車椅子での社殿到達は極めて困難である点に注意が必要です。
第3の盲点は、「久能山東照宮は静岡駅からバスですぐ行ける」という距離感のズレです。静岡駅前からの路線バス(しずてつジャストライン)で日本平山頂までは約35分〜40分、山下の久能山下バス停までも約30分を要します。電車の最寄り駅から直結しているわけではないため、公共交通機関を利用する際は発車時刻を綿密に調べておくことがタイムロスを防ぐ鍵となります。