「なんじゃもんじゃ」というユニークな名称は、特定の単一樹種だけを指す学術用語ではありません。その意味と語源を紐解くと、江戸時代の市井の人々が抱いた素朴な好奇心に突き当たります。
江戸時代、武家屋敷や寺社の境内に植えられていた見慣れない珍木に対し、道行く人々が「あれはなんじゃ」「何の木じゃ」と指をさして尋ね合った様が転じ、「なんじゃもんじゃ」と呼ばれるようになったと伝えられています。当時の記録や伝承によると、水戸藩主・徳川光圀(水戸黄門)が時の将軍に「あの木は何という木か」と問われた際、とっさに「なんじゃもんじゃ」と返答して煙に巻いたという逸話も残されています。
かつてはクスノキ、ニレ、ボダイジュ、タブノキなど、地域ごとに「地元では誰も名前を知らない巨木・神木」を親しみを込めてなんじゃもんじゃと呼んでいました。それが明治時代以降、青山練兵場(現在の明治神宮外苑)にあった見事な樹木が「なんじゃもんじゃの木」として全国的な知名度を獲得したことで、その樹種であったヒトツバタゴが代表格として定着していったのです。