ドラえもん連載開始の謎と誕生秘話!白紙の予告カットから生まれた奇跡

ドラえもん連載開始の謎と誕生秘話!白紙の予告カットから生まれた奇跡

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ドラえもんの連載開始年は1969年(昭和44年)12月。月刊誌の発売日サイクルに従い「1970年1月号」として世に出ました。驚くべきは、単一の少年漫画誌でのスタートではなく、小学館の学年別学習雑誌6誌(『よいこ』『幼稚園』『小学一年生』『小学二年生』『小学三年生』『小学四年生』)で完全に同時に連載を開始した点にあります。

しかも藤子・F・不二雄氏は、同一のネームを使い回すのではなく、読者である子どもたちの成長段階や語彙力、精神年齢に合わせて、6誌すべてで「異なる導入シーン」と「異なる展開」を描き分けるという驚異的な離れ業を敢行しました。

例えば、未就学児向けの『よいこ』『幼稚園』ではセリフを極限まで減らし、引き出しからいきなりドラえもんが飛び出してのび太を驚かせるドタバタ喜劇として構成。一方の『小学四年生』では、未来からやってきた少年・セワシが先祖であるのび太の悲惨な運命(事業の失敗で背負う巨額の借金や、ジャイ子との結婚など)をアルバムを見せながら理論的に説明し、その運命を変えるためにロボット・ドラえもんを居候として派遣するという、SF的な設定が緻密に語られます。

今日広く知られているドラえもんのプロローグ、すなわち『てんとう虫コミックス第1巻』に収録された名作エピソード『第1話未来の国からはるばると』は、この『小学四年生』版をベースに、各学年誌の優れた描写を統合・加筆修正して再構築された決定版です。ひとつのキャラクターを幅広い年代層に向けて同時に定着させるという、小学館の綿密なメディア戦略と藤本氏の超人的な職人技が、連載開始の瞬間に結実していたのです。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。