渡辺徹さんの闘病生活を語る上で、妻・榊原郁恵さんによる献身的な食事管理は日本中が知るところでした。1987年の結婚以降、郁恵さんはカロリーや塩分を綿密に計算した「ヘルシー弁当」を手作りし、渡辺さんの健康維持に心血を注いでいました。
しかし、生前のテレビ番組や自著で渡辺さん自身がユーモラスに語っていたように、その裏には壮絶な「食事制限との攻防戦」が存在していました。地方ロケ先でスタッフの目を盗んでラーメンを食べたり、マヨネーズを隠し持って料理にかけたりする「隠れ食い」のエピソードは、笑い話として語られる一方で、当事者にとっては切実なストレスとの戦いでもありました。
2022年12月2日に行われた榊原郁恵さんと渡辺裕太さんによる合同記者会見は、深い悲しみの中にありながらも、徹さんの明るい人柄を称える温かい笑いに包まれた異例の会見となりました。
郁恵さんは会見の場で、涙をこらえながら次のように語っています。
「『お父さん、よく頑張ったね』と言ってあげたい。病気と闘いながらも、舞台に立つこと、人を笑顔にすることに対して絶対に弱音を吐きませんでした。食事のことで喧嘩もたくさんしたけれど、それも含めて渡辺徹という大きな存在でした」
また、長男の渡辺裕太さんも「偉大な父であり、最後まで格好いい役者でした」と述懐。SNSやネットコミュニティ上でも「家族の深い愛情に涙が止まらない」「病気に負けず最後まで明るさを届けたプロ精神に敬意を表したい」といった数万件に及ぶ追悼の声が寄せられました。