荒熊稲荷神社の主祭神である「荒熊大明神」は、京都の伏見稲荷大社の奥社において修行を積んだとされる霊験あらたかな白狐神と伝えられています。大正から昭和初期にかけてこの地で神示を受け、高座山(たかくらやま)の山頂に祀られたことが神社の草創です。地元・南知多の漁師や商業者たちの間で海難除けや大漁追福の神として崇められ始めた信仰は、次第に東海地方全域の企業経営者や個人事業主へと広がり、熱心な崇敬を集めるに至りました。
境内へ足を踏み入れると、海岸沿いの明るいリゾートエリアとは一線を画す静寂が辺りを包みます。神道における稲荷信仰は、食物や農業の神である宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀るのが一般的ですが、荒熊大明神のように特定の霊狐を独自の守護神として篤く祀る形態は、現世利益への感応が極めて鋭いと信じられてきました。これが「商売繁盛」や「金運上昇」において一度参拝すると手放せない強力な後押しを受けると語り継がれる歴史的背景となっています。