1960〜70年代のアングラ演劇界を牽引した存在は「アングラ四天王」と称されます。寺山修司の「天井桟敷」、唐十郎の「状況劇場」、鈴木忠志の「早稲田小劇場」、佐藤信の「黒テント(演劇センター68/71)」の4者です。なかでも、新宿の花園神社に紅テントを建てて神出鬼没の公演を行った唐十郎と、渋谷を拠点に言葉の迷宮を編み出した寺山修司の関係性は、熱烈なライバル関係として知られています。
両者の対立が頂点に達したのが、1969年12月に発生した通称「渋谷・天井桟敷館乱闘事件」です。状況劇場側が天井桟敷の館へ乗り込み、両劇団員が入り乱れる大乱闘へと発展。警察が出動し、唐十郎を含む双方が起訴猶予処分となる騒動にまで発展しました。しかし、この衝突の根底にあったのは単なる感情的対立ではなく、演劇における「身体」と「言語」の思想的断絶でした。