手羽元をしっとりジューシーに仕上げ、かつ短時間で確実に中心まで火を通すためには、油に入れる前の下処理が味の9割を決定づけます。デリッシュキッチン等の大手レシピメディアでも推奨されている通り、手羽元の唐揚げで生焼けを防ぐ骨周りの切り込み術は、プロが現場で必ず施す基本工程です。
具体的な切り込みの手順はシンプルです。手羽元の皮面を下にして置き、骨が露出している太い側の両脇、または骨に沿って包丁の刃先を深く入れ、骨から肉を左右に少し切り離すようにスリットを2本入れます。このとき、骨が見える深さまでしっかり刃を入れることで、加熱時に最も熱が伝わりにくい骨周囲へ直接、熱い油と調味料の蒸気が行き渡るようになります。さらに火の通りが均一化され、加熱時間を約20〜30%短縮できるため、長時間の加熱による肉の脱水パサつきを防ぎ、内部のコラーゲンがゼラチン化してジューシーさが保たれるという二重のメリットが生まれます。
加えて、ジューシーに仕上がる下処理の真相として見落とせないのが「常温戻し」と「フォーク刺し」です。調理を開始する15〜20分前には肉を冷蔵庫から出し、室温に近づけておくことで中心と外側の温度差を最小限に抑えます。また、厚みのある肉部分にフォークで数箇所穴を開けておくことで、繊維が適度に断ち切られ、調味液の浸透圧による保水効果を最大限に引き出すことができます。
おもてなしやお弁当向けに食べやすさと見栄えを追求するなら、手羽元チューリップ唐揚げの作り方をマスターするのも一案です。骨の細い方の端にある関節の軟骨周辺にぐるりと包丁を入れて筋を切り離し、肉を太い方へと裏返すように押し下げることで、持ち手のある丸いチューリップ型に変形します。肉の厚みが一箇所にまとまるため、切り込みを入れつつ中温でじっくり揚げることで、子どもでも手を汚さずに骨離れよく食べられる極上の唐揚げが完成します。