恵比寿(東京都渋谷区)という地名の由来がヱビスビールにあることは広く知られている。その中核であるサッポロホールディングスの歴史的拠点、恵比寿ガーデンプレイスを中心に広がるこのエリアは、常に日本の外食産業における実験場であり続けてきた。
巨大な商業施設が放つ洗練された空気感と、昭和の面影を色濃く残す横丁の猥雑さ。この対極にある二つの要素が絶妙なグラデーションを描きながら共存している点こそ、この街の最大の魅力だろう。時代の変化に伴い、飲食店のあり方も「分かりやすい豪華さ」から「体験価値の深さ」へとシフトした。オープンキッチンの臨場感や、生産者の顔が見えるオーガニック食材への傾倒など、街のレストランが発信するメッセージはより本質的になっている。