ネット上のQ&Aサイト等で安易に推奨されがちな方法の中には、獣医学的に大きなリスクを孕んだ誤った知識が散見されます。愛猫の健康を守るために知っておくべき盲点を整理します。
盲点1:主食のドライフード全体に薬を混ぜるのはNG
猫の薬をご飯に混ぜる際の最大の注意点は、主食の皿全体に混ぜてしまうことです。薬の苦味や異臭に気づいた猫が途中で食事をやめてしまうと、規定の薬効が得られないばかりか、「いつものご飯=嫌な味がするもの」と学習し、深刻なフード嫌悪症(食事拒否)に陥る危険があります。混ぜる場合は、必ず空腹時にスプーン1杯程度の少量のウェットフードに混ぜ、確実に完食したことを確認してから通常の食事を与えるように徹底してください。
盲点2:錠剤を勝手に粉砕・カプセル開封してはいけない
「大きくて飲みにくいから」と自己判断で錠剤を砕いたりカプセルを開けたりすることは厳禁です。薬剤の中には、胃酸で分解されず腸で溶けるよう設計された「腸溶錠」や、時間をかけて徐々に成分が溶け出す「徐放剤」が存在します。これらを破壊すると、薬効が失われるだけでなく、胃粘膜に強い炎症を引き起こす恐れがあります。形状変更を行いたい場合は、必ず処方元の獣医師に可否を確認してください。
盲点3:乳製品(ちゅーる等)と特定の抗生物質の相互作用
投薬補助として便利な乳製品や一部のペースト類ですが、ドキシサイクリンやエンロフロキサシンなどの抗生物質(テトラサイクリン系やニューキノロン系)と同時に与えると、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルと薬剤がキレート結合を起こし、薬の体内吸収率が著しく低下することが知られています。処方時に「乳製品やおやつと混ぜても問題ないか」を担当医に必ず確認しましょう。