サツマイモ収穫において、初心者が最も陥りやすい致命的な間違いが「収穫直後の水洗い」と「収穫時期の引き延ばし過ぎ」です。
まず、収穫したばかりの泥つきサツマイモを水道水で綺麗に洗ってしまう行為は、保存性を著しく破壊します。水で洗うことによって表皮の保護膜(クチクラ層)が傷つき、過剰な水分を吸収したイモは呼吸活性が異常に高まります。さらに、湿潤状態が続くことでカビや雑菌が繁殖し、数週間で内部からドロドロに溶けるように腐敗します。収穫後は絶対に洗わず、半日ほど風通しの良い日陰で表面の土を軽く乾かした後、手で優しく払う程度に留めるのが正解です。
もう一つの重大なリスクが、「収穫が遅れるとどうなるか」という問題です。初霜が降りる時期まで収穫を遅らせると、地温が10℃以下に低下します。熱帯中米原産のサツマイモは低温に極めて弱く、地温9℃以下に晒されると「低温障害」を引き起こします。細胞が壊死して内部が黒く変色し、苦味が発生して加熱しても甘くなりません。また、巨大化しすぎて中心部に空洞(ス)が入るなど、食味の劣化が不可逆的に進行します。
農業生産現場では、収穫後の傷を治癒させるために「キュアリング処理」が行われます。これは温度30〜32℃、湿度85〜90%の環境に4〜5日間置くことで、皮下の傷口にコルク層を急速に形成させ、病原菌の侵入を遮断する技術です。家庭環境で厳密なキュアリング装置を用意することは困難ですが、掘り上げ後に新聞紙で包み、暖かい室内(20〜25℃前後)に数日間置くだけでも、簡易的な傷口の自然治癒(コルク化)を促すことが可能です。