映画史に残る砂漠のラストシーンは、当初スタジオ側から「あまりに救いがない」として別エンディングへの差し替えが強く要求されていた。しかし、ブラッド・ピットとフィンチャーは「あの結末でなければ出演しない」と頑なに拒否し、初志を貫徹したという有名な逸話が残されている。
不穏な静寂に包まれた荒野、遠くから近づいてくる配達車、そして送り届けられた謎の段ボール箱。犯人の意図が明かされた瞬間にミルズが直面する究極の葛藤は、観客の心に爪痕を残し続ける。直接的なショック描写を避け、登場人物の表情と対話だけで観る者の想像力を刺激した演出こそ、この結末が今なお色褪せない最大の理由だ。