2025年8月に執り行われた通夜の席で、長男・達生さんが参列者の前で語った追悼の言葉は、メディアを通じて多くのサッカーファンの琴線を揺らしました。それは、公の場では常に威風堂々とし、豪快な笑顔を崩さなかった釜本氏が見せた「知られざる悔し涙」の記憶でした。
達生さんが回顧したのは、2006年FIFAワールドカップ・ドイツ大会のグループリーグ初戦、日本対オーストラリア戦の夜のことでした。中村俊輔選手のゴールで先制しながらも、終盤のわずか8分間で3点を奪われ、1-3という痛恨の逆転負けを喫したあの一戦です。
当時、日本サッカー協会の副会長を務めるなど重職にあった釜本氏は、テレビの前で試合を見届けた後、家族の前で言葉を失い、ボロボロと涙を流したといいます。「どうして勝てなかったんだ」「あんなにいいチームなのに、勝たせてやれなかった」と、一人のサポーターのように、そして日本代表の誰よりも深く悔しがり、ベッドに入ってもなお肩を震わせていた姿を、長男は間近で目撃していました。
この告白が報道各社によって報じられると、SNS上では「釜本さんがそこまで代表を想っていたとは知らなかった」「息子の言葉だからこそ胸に刺さる」「メディアの前での強気な発言の裏に、どれほど純粋なサッカー愛があったのかが伝わる」といった反響が巻き起こりました。父の栄光だけでなく、その苦悩や純粋な情熱を最も理解していたのが長男の達生さんであり、二人の間には言葉を超えた深い信頼関係が結ばれていたことが証明された瞬間でした。