分泌液の貯留速度には著しい個体差が存在しますが、犬の肛門腺を絞る適切な頻度は概ね「2週間から1カ月に1回」が標準的な目安となります。体質的に分泌量が多い犬や泥状の分泌液を持つ犬は2〜3週間に1回、サラサラとした液状で排便時にも一部出ている犬であれば月1回のシャンプー時で十分対応可能です。
分泌物の鬱滞を放置し、細菌感染が進むと犬の肛門腺炎を発症します。肛門腺炎に陥った場合の標準的な治療法は以下の通り段階的に進められます。
初期の軽度な炎症であれば、カテーテルを用いて導管から生理食塩水や消毒液を注入し、嚢内を直接洗浄した上で抗生剤や消炎剤を注入・内服投与します。しかし、慢性化して炎症を繰り返すケースや、導管が線維化して完全に閉塞した難治性症例に対しては、全身麻酔下で肛門嚢そのものを外科的に摘出する「肛門嚢摘出術」が適用されます。愛犬への身体的侵襲と経済的負担を最小限に抑えるためにも、日頃の観察を通じた初期対応が決定的な意味を持ちます。