2026年時点におけるオーストラリアンシェパードの子犬販売価格相場は、およそ35万〜60万円前後で推移しています。毛色や目の色、血統ライン(ドッグショー系かアジリティ系か)によって価格は変動し、特に大理石のような美しい斑紋を持つブルーマールやレッドマール、左右で瞳の色が異なる「バイアイ(オッドアイ)」の子犬は高額になる傾向があります。
しかし、この美しい毛色の裏側には、繁殖における極めて重大な遺伝性疾患のリスクが潜んでいます。マール遺伝子同士を掛け合わせる「ダブルマール交配(マール×マール)」によって生まれた子犬は、高い確率で先天性の重度難聴や小眼球症、全盲などの視覚障害を発症します。利益を優先する悪質なブリーダーによる無謀な交配から生まれた障害犬が問題視されており、知識のない購入者がトラブルに巻き込まれる事例も報告されています。
さらに、コリー系犬種に特有の遺伝病にも警戒が必要です。
- MDR1遺伝子変異:特定の駆虫薬(イベルメクチンなど)や麻酔薬、抗がん剤などを体外へ排出できず、重篤な神経毒性を引き起こす疾患。
- コリー眼異常(CEA):網膜や脈絡膜の発達不全により視力低下や失明に至る疾患。
- 進行性網膜萎縮症(PRA)および白内障:徐々に視力が失われていく遺伝性眼疾患。
- 股関節形成不全(HD):大型の骨格を支える関節が正常に発育せず歩行困難を引き起こす疾患。
信頼できる専門ブリーダーを選ぶ際は、両親犬の遺伝子検査結果(MDR1、CEA、PRA、DM等)や股関節スコアを包み隠さず開示してくれるか、飼育環境を見学させてくれるかを厳格に確認しなければなりません。ペットショップの店頭で衝動買いするのではなく、血統管理と健康状態を徹底管理しているシリアスブリーダーから直接迎えることが、将来的な悲劇を防ぐ唯一の防波堤です。