火葬や供養といった感情面の手続きに意識が集中するあまり、法的な届け出が完全に抜け落ちてしまうトラブルが後を絶ちません。犬は日本の現行法規上、狂犬病予防法によって厳密に個体管理されており、死亡時には法定義務が発生します。ネット上で散見される「ペットが亡くなっても特に届け出は不要」「火葬業者が役所へ連絡してくれる」といった言説は完全な誤解です。
飼い主が必ず行うべき法的義務は主に以下の2点です。
1. 狂犬病予防法手続き(犬の死亡届):狂犬病予防法第4条に基づき、飼い犬が死亡した日から30日以内に、管轄する市区町村の役所(保健所や生活衛生課、環境保全窓口など)へ「犬の死亡届」を提出しなければなりません。犬の死亡届提出期限を過ぎて放置した場合、同法第27条により20万円以下の罰金に処される可能性があるため注意が必要です。届出の際には、生前に交付された「鑑札」および「注射済票」の返還を求められるのが一般的です。
2. マイクロチップ登録抹消手続き:2022年に義務化された改正動物愛護管理法に基づき、マイクロチップを装着して環境省の指定登録機関(犬と猫のマイクロチップ情報登録)に登録している個体は、死亡時にオンラインまたは郵送で死亡登録(抹消手続き)を行う必要があります。なお、一部の自治体では「狂犬病予防法の特例制度(ワンストップサービス)」を導入しており、マイクロチップの死亡登録を行うことで市区町村への死亡届提出が自動的に完了する運用となっています。居住地域の自治体が特例対象であるか、事前に公式ウェブサイト等で確認しておくと無駄な二重申請を防げます。
また、ペット保険に加入していた場合は、死亡日を確認できる書類(火葬証明書や診断書)の提出によって保険契約の解約手続きや未経過保険料の精算が発生するため、各種証明書は大切に保管しておきましょう。