インターネット上の言説やニュースのコメント欄では、「地方の大学進学率が低い=地方の生徒は勉強ができない」「地方の学力低下が深刻だ」という短絡的な誤解が頻繁に散見されます。しかし、この言説は教育統計の構造を無視した明らかなミスリードです。
文部科学省の「学校基本調査」における「大学進学率」とは、あくまで4年制大学および短期大学への進学率を指しており、専修学校(専門学校)への進学者数は分母の卒業生数には含まれつつも、進学率の分子からは除外されています。地方では、都道府県立の看護学校や、自動車・IT・調理・リハビリ・農業などを学ぶ専門学校が、地域に密着した強固な就職ネットワークを築いています。
実際、高等教育機関全体(大学・短大・専門学校・高専専攻科など)への進学率を集計すると、大学単体では40%台前半と低迷していた東北各県や九州各県でも、全体の75%〜80%以上が進学している実態が判明します。名ばかりの私立大学へ巨額の学費を投じて4年間を過ごすよりも、2年間で確実な公的資格や専門スキルを身につけ、地元インフラへ就職する道を選ぶ家庭が極めて多いのです。
つまり、地方の低進学率は「向学心の欠如」ではなく、「コストパフォーマンスと確実性を重視した極めて合理的な選択の結果」である側面が強く、表面的なランキングの順位だけで教育水準の優劣を語ることはできません。