SNSやネット掲示板上では、ほくろ除去にまつわる甘い言葉や誤ったテクニックが横行しています。長年現場で治療に当たる皮膚科医・形成外科医の協力のもと、広く信じられている「2大都市伝説」の真偽を検証します。
噂の真相1:「皮膚科で『引っかかって痛い』と嘘をついて申告すれば、安くレーザーで取ってもらえる?」
【結論:明確な誤り(事実無根)】
ネット上で「こう言えば保険が効く」といった裏技指南が散見されますが、通用しません。前述の通り、通常のほくろに対する炭酸ガスレーザー照射自体に保険の点数はついていません。仮に医師が機能障害を認めて保険適用と診断した場合、選択される術式は「皮膚皮下腫瘍摘出術(露出部)」などの手術手技に限られます。医師に「痛い」と主張した結果提示されるのは「メスを入れる切開手術」であり、レーザーを保険負担で格安照射してもらえるわけではありません。
噂の真相2:「保険の手術は傷跡が汚くなり、美容クリニックのレーザーなら跡形もなく消える?」
【結論:危険な誤解。どちらもダウンタイムと傷跡のリスクがある】
「保険診療=メスでざっくり切られて傷跡が残る」「自費レーザー=魔法のように消えて美肌になる」というイメージは完全な幻想です。現役の皮膚科医である玉城有紀医師は、自らの体験談として「顔のほくろをレーザーで除去したものの、細胞が深部に残っていたため再発を繰り返し、結局3回もレーザーを照射する羽目になった」という苦い経験を公表しています。
レーザーであっても母斑細胞が真皮深層に及んでいれば、深く削ることでクレーター状の窪みが一生残るリスクや、熱による肥厚性瘢痕(赤く盛り上がる傷)を起こすリスクを孕んでいます。対して、形成外科で行われる保険診療の切開縫合は、皮膚のシワ(皮膚割線)に沿ってメスを入れ、真皮縫合という極めて精密な中縫い技術を駆使して一本の細い白い線に落ち着かせるため、熟練医の手にかかればレーザーの陥凹痕よりも目立たなくなるケースが少なくありません。