行政サービスを維持し、警察や軍事、インフラを運用するには莫大な予算が必要です。では、消費税や所得税を取らない国々は、一体どこから歳入を得ているのでしょうか。無税国家財政の仕組みを調査すると、一般国家とは根本的に異なる3つの経済構造が浮かび上がります。
第1の柱は、資源国税金免除を可能にする圧倒的な地下資源収入です。クウェートやブルネイなどの国家では、国家予算の大半が国営エネルギー企業による原油・液化天然ガスの輸出代金で賄われています。さらに得られたオイルマネーを「ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系投資ファンド)」を通じて世界中の優良株式や不動産に分散投資し、その運用益や配当だけで国家運営費を捻出しています。国民から税金を集める必要性そのものが構造的に希薄なのです。
第2の柱は、オフショア金融センターにおける「手数料ビジネス」です。ケイマン諸島やバミューダ諸島には、世界中のヘッジファンド、多国籍企業、SPC(特別目的会社)が登記されています。これらのタックスヘイブンでは、企業に対して利益に対する法人税を課さない代わりに、毎年の法人登記維持手数料、金融ライセンス料、事業登録税などを課しています。数万社に及ぶ法人からの固定手数料収入が、小規模な島嶼国家の財政を丸ごと支える強固な基盤となっています。
第3の柱は、税金という名目を回避した「高い関税と行政サービス料」です。消費税がない国の多くは国内産業が乏しく、生活物資のほぼ全てを輸入に頼っています。政府は物資が港に入港する時点で高率の輸入関税(カスタムズ・デューティー)を徴収しており、実質的に物価へ税金が転嫁されています。さらに自動車登録料、ビザ発給費用、公的手続き手数料が法外に高く設定されており、「名目上の無税」を別の名目で確実に回収する巧みな歳入エコシステムが構築されています。