警告灯が点灯し、車体が震えていても「まだ動くから近所の整備工場や自宅まで自走しよう」と考えるドライバーが後を絶ちません。しかし、整備士が口を揃えて警鐘を鳴らす通り、エンジン警告灯点灯で走行可能かという問いに対する回答は、例外なく「極めて危険であり、直ちに安全な場所へ停止すべき」です。自走を強行した場合、わずか数キロメートルの走行であっても次の3つの深刻な二次被害を引き起こします。
第1のリスクは、排気ガス浄化装置である三元触媒(触媒コンバーター)の溶損および火災です。シリンダー内で燃焼しなかったガソリン(生ガス)は、そのまま排気マニホールドへと押し出されます。この未燃焼ガスが数百度の高温に達している触媒内部へ流れ込むと、触媒の中で激しく燃焼し、内部のハニカム構造を1,000度以上の超高温で焼き溶かしてしまいます。触媒が壊れると排気ガスが抜けなくなり、白煙が上がったり、最悪の場合は車両火災に至ります。触媒の新品交換費用は部品代だけで15万〜25万円以上と、極めて高額な出費になります。
第2のリスクは、未燃焼ガソリンがシリンダー壁面のエンジンオイルを洗い流してしまう「油膜切れ」によるエンジンの焼き付きです。ピストンとシリンダーが金属同士で直接擦れ合い、シリンダー内部が傷だらけになればエンジン本体が全損(エンジンブロー)し、載せ替え修理で50万〜100万円規模の損失が発生します。
第3のリスクは、加速時に息継ぎする原因による走行中の動力喪失です。交差点での右折時や合流車線でアクセルを踏み込んでも車が前に進まず、後続車に追突される危険性があります。さらに異常燃焼が連続することで激しいノッキング現象の対処法が追いつかず、路上で完全にエンストしてブレーキの倍力装置やパワーステアリングが失効するリスクも否定できません。