文房具店や祝儀袋売り場に足を運ぶと、多種多様なのし袋が陳列されており、どれを手に取るべきか迷うケースが頻発します。地鎮祭で用いるのし袋を選ぶ際に外してはならない基準が「水引(みずひき)の形状と配色」です。
慶事の水引には「蝶結び(花結び)」と「結び切り」の2系統が存在します。地鎮祭は「土地を清め、新たな建物を建てる慶事」であり、何度繰り返しても喜ばしい出来事と解釈されます。そのため、解いて何度でも結び直せる「紅白の蝶結び」(5本または7本水引)を選択するのが作法です。結婚式や快気祝いで使われる「一度きりであってほしい」結び切りや、あわじ結びの祝儀袋は適しません。
包む金額が3万〜5万円程度であれば、豪華すぎる大判の金銀水引がついた袋はかえって中身と不釣り合いになります。水引が本物で中袋が付属した、標準サイズ(略式ではない本格的な手折り型)の紅白蝶結びのし袋を用意するのがもっとも格式に合致した振る舞いです。
また、のし袋の表書きとして「御初穂料」と「御玉串料(おたまぐしりょう)」のどちらを記載すべきかという議論が散見されます。神道儀礼における歴史的背景を踏まえると、次のような明確な役割の違いが存在します。
- 初穂料(はつほりょう):その年の秋に収穫された「最初の稲穂」を神前にお供えし、豊作と感謝を捧げた慣習に由来。転じて、現在では神仏への感謝を伴う慶事全般(地鎮祭・安産祈願・お宮参り・七五三・上棟祭など)に幅広く用いられます。
- 玉串料(たまぐしりょう):神職や参拝者が神前に捧げる榊(さかき)の小枝「玉串」の代名詞として金銭を奉納することに由来。祭事全般はもちろん、通夜祭や葬場祭(神道における葬儀)、慰霊祭といった弔事にも使える汎用的な表現です。
地鎮祭は神事であると同時におめでたい儀礼であるため、どちらを用いても重大なマナー違反には該当しません。ただし、現代の建築現場においては「御初穂料」と記すのがもっとも一般的で、広く歓迎される表現となっています。