家庭という最初の対人モデルが歪んでいた場合、その歪みは親密な人間関係において最も痛烈な形で露出します。顕著な例が毒親育ち恋愛傾向と結婚における困難です。
臨床心理の場において頻繁に観察されるのが、フロイトの提唱した「反復強迫(Repetition Compulsion)」の現象です。これは、過去に解決できなかったトラウマを再現し、今度こそコントロールしようと無意識に似たような人物をパートナーに選んでしまう心理を指します。結果として、過干渉や暴言を繰り返すモラハラ気質のパートナーや、情緒的に未成熟で依存的な相手を選んでしまい、「親と同じ苦しみを配偶者からも受ける」という悲劇的なサイクルを自ら再現してしまうケースが後を絶ちません。
また、愛着スタイルが「不安型」に傾いている場合、相手のLINEの返信が数時間遅れただけで「見捨てられたのではないか」とパニックになり、相手を執拗に追いつめたり、逆に相手の気を引くために自虐的な行動を取る「試し行動」を繰り返してしまいます。一方、「回避型」に偏っている場合は、相手から好意を向けられた瞬間に強い嫌悪感や恐怖を覚える「蛙化現象」を引き起こし、親密さを自ら破壊してしまいます。
さらに結婚後においては、「自分も親のように子どもを傷つけてしまうのではないか」という「毒親の連鎖」への恐怖から、子作りや育児に対して極度の重圧を感じる傾向が強く見られます。親からの心理的自立が未完了のまま配偶者を迎えた場合、実家の親が夫婦関係に過度な介入を続け、家庭崩壊に至るケースも2026年現在の離婚相談において上位の事由として報告されています。