心臓や肺に器質的な異常が見当たらないにもかかわらず、胸の中央が締め付けられるように苦しい場合があります。その代表例が、胃酸が食道へ逆流する逆流性食道炎による胸の違和感です。食道と心臓は同じ神経領域を共有しているため、食道の炎症を脳が「心臓の痛み」と錯覚してしまう現象(関連痛)が起きます。食後すぐに横になった際や、前屈みになった時にみぞおちから胸の裏側にかけて焼けるような熱さを感じるなら、消化器内科の専門領域です。
また、検査で一切の異常が検出されない胸痛には、自律神経の乱れが関与するストレス性心因性胸痛の症状が挙げられます。強い不安や過労、プレッシャーに晒された際、交感神経が過剰に興奮して肋骨周りの筋肉が異常収縮したり、過換気症候群を引き起こして胸部圧迫感や動悸、手足のしびれを招きます。心臓や消化器の器質的疾患を確実に除外した上で、心療内科や精神科でのケアが有効な選択肢となります。