内診で最も苦痛を訴える声が多いのが、クスコ式膣鏡(ちつきょう)と呼ばれる金属製、あるいはディスポーザブル(使い捨て)プラスチック製の開創器具です。医師が肉眼で子宮頸部を正確に確認するためには、普段は閉じている膣壁を上下に広げる必要があり、この医療器具の使用は現状の細胞診において避けて通れません。
クスコによる痛みの原因は、器具の先端が膣壁に触れること自体よりも、ネジを回して器具を開帳(スプレッド)する瞬間に集中しています。冷たい金属が触れた驚きで体が強張ると、反射的に膣が器具を押し出そうと反発し、挟み込まれるような激しい違和感や鈍痛を引き起こします。
この苦痛を回避するために、受診者側が主体的に取れる現実的な対策が存在します。現場の医師や看護師に遠慮せず、事前の問診票や診察台に上がる直前のタイミングで「器具のサイズ配慮」を申し出ることです。
クスコには「SS」「S」「M」「L」といった複数のサイズが常備されています。体格や出産歴に応じて医師が選択しますが、痛みに極度の不安がある旨を申告すれば、最も細いSサイズやSSサイズを選択してもらうことが可能です。また、潤滑ゼリー(リドカインを含まない水溶性ゼリー)を多めに塗布してもらう、金属製ではなく冷感の少ないプラスチック製ディスポーザブル器具を希望する、といった事前のコミュニケーションが痛みの緩和に直結します。