創作物の台詞やキャラクターの口癖にとどまっていた表現が、現在のような「構文」へと進化を遂げた決定的要因は、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の「なんでも実況J(なんJ)」におけるスレッド文化にあります。なんJ住民特有の自己卑下と強がりが入り混じった語り口と、「すまないと思っている」という重々しい言い回しが奇跡的な親和性を見せたのです。
2010年代半ばから後半にかけて、なんJの掲示板上では以下のようなスレッドタイトルが乱立しました。
「ワイ〇〇、深夜にラーメンを食べてしまいすまないと思っている」
「お前らに期待させてすまないと思っている」
「またオタク特有の早口になってしまいすまないと思っている」
本来であれば真剣な謝罪や懺悔の場で用いられるべき厳粛な言葉を、あえて「深夜の暴飲暴食」や「他愛のないオタク語り」といった矮小な事象とドッキングさせることで、強烈なシュールレアリスムを生み出しました。この形式は瞬く間に「すまないと思っている構文」として確立され、なんJの枠を飛び越えてX(旧Twitter)などの主要SNSへと伝播していった経緯があります。