保護者が最も早い段階で直面する違和感として挙げられるのが、「視線の合いにくさ」「表情の乏しさ」「抱っこへの抵抗感」の3点です。多くの育児書では、生後2〜3ヶ月頃から始まる「社会的微笑(あやし笑い)」や親の目を見つめる反応が発達の目安として紹介されているため、これらが見られない場合に強い焦燥感が生まれます。
まず「目が合わないのはいつからか」という疑問について、臨床観察では生後4〜6ヶ月頃から親の視線への追従やアイコンタクトの頻度に差が生じ始めると指摘されています。ただし、乳児の視力は生後半年でようやく0.1〜0.2程度に達する発達段階にあり、焦点を合わせる機能自体が未発達なケースも珍しくありません。自閉スペクトラム症の乳幼児特性において本質的なのは「単に目線が合わないこと」ではなく、「視線を通じて感情を共有しようとする意図(社会的参照)が薄いこと」にあります。
また、あやしても笑わない、あるいは抱っこを嫌がるという現象の背景には、先天的な感覚過敏(触覚過敏・前庭感覚の偏り)が関係している場合があります。肌の接触を強い刺激や痛みのように感じてしまったり、抱き上げられたときの平衡感覚の変化に恐怖を覚えたりして、体を反り返らせて突っ張る赤ちゃんがいます。これは親に対する愛着の欠如ではなく、神経系の刺激処理の特性による生理的反応であると理解することが極めて大切です。