地方議会選挙をめぐっては、インターネット上や有権者の間でいくつかの典型的な誤解が存在します。その最たるものが、「トップ当選した議員が議会で最も強い影響力を持つ」という認識です。
地方自治法が定める二元代表制において、議会は合議制機関です。どれほど圧倒的な得票数で1位当選を果たしたとしても、議席数は1議席に過ぎません。市長提出の予算案や条例案を可決・否決し、あるいは議員提案条例を成立させるためには、過半数の賛成(定数22であれば12名以上)を結集させる政策交渉力と会派連携が不可欠です。単独で過激な主張を繰り返すスタンドプレー型の議員は、メディア露出こそ多くとも、実際の政策決定現場では孤立し、要望を1つも通せないという事態に陥りがちです。
また、「無所属候補は政党のしがらみがないから清潔で自由」というイメージも、一面的な捉え方に過ぎません。政党の推薦を受けない無所属議員は、議会内で強力な発言力を確保するために会派を結成・所属することが多く、実質的には特定の既存勢力と協調路線をとるケースが少なくありません。有権者は、候補者の「無所属」という看板だけに惑わされることなく、議場での投票行動や所属会派の過去の実績を冷静に吟味する必要があります。