抗生剤と抗菌薬の違いとは?風邪に効かない真相と処方の新常識

抗生剤と抗菌薬の違いとは?風邪に効かない真相と処方の新常識

抗生剤と抗菌薬の違いとは?風邪に効かない真相と処方の新常識について見逃せない ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。

SNSや医療相談掲示板では、「高熱で辛いのに解熱剤とうがい薬しか出されなかった」「ヤブ医者だから抗生剤を出してくれないのか」といった切実な不満の声が今なお散見されます。しかし、病院で抗生剤が出ない理由は医療従事者の怠慢ではなく、科学的根拠に基づいた高度な医療判断によるものです。

厚生労働省が策定した「抗菌薬の適正使用ガイドライン(抗微生物薬適正使用の手引き)」により、急性気道感染症(風邪、急性咽頭炎、急性気管支炎など)に対して、原則として抗菌薬を投与しない方針が全国の医療機関に強く推奨されています。過去の大規模な臨床試験データの蓄積により、通常の風邪に抗菌薬を投与しても、病気の治癒期間は半日すら短縮されず、重症化予防の効果も認められないことが完全に証明されているためです。

都内の総合内科専門医は診察室の実態について次のように語っています。

「以前の日本の医療現場には、患者さんの『何か強い薬を出してほしい』という不安を和らげるため、いわば“お守り”や“念のため”の目的で広域抗菌薬を出す悪しき処方文化が存在しました。しかし現在は、問診と検査で溶連菌感染症や百日咳、細菌性肺炎などの明確な細菌感染が強く疑われない限り、抗菌薬は絶対に出しません。薬を出さないことこそが、患者さんの体と将来の社会を守る誠実な医療です」

患者が「安心」を求める心理的バイアスと、医学的エビデンスに基づく医師の防波堤。このギャップを埋めるためには、薬をもらうこと=良質な治療という昭和・平成的な固定観念からの脱却が求められています。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。