外資系企業に対して抱かれがちな典型的な誤解が、「売上が未達だと翌日にはクビを切られるのではないか」という極端な成果主義への恐怖です。しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソンにおいてこのイメージは当てはまりません。
同社には、全世界共通の企業倫理規範である「我が信条(Our Credo)」が深く根付いています。クレドでは第一の責任を「顧客(患者、医師、看護師)」、第二を「全社員」、第三を「地域社会」、そして最後の第四を「株主」と定義しています。社員の雇用を守り、健全な労働環境を提供する責任が明確に明文化されているのです。
業績目標を達成できなかった場合でも、直ちに解雇されることはありません。PIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン:業務改善プログラム)が適用され、上司との綿密な面談を通じて改善の機会が与えられます。国内の労働基準法に準拠していることもあり、ネット上で語られる「冷酷な即日解雇」は実態から乖離した都市伝説に過ぎません。
一方で、見落としてはならない盲点も存在します。それが「クレド評価(行動評価)」のシビアさです。どんなに驚異的な営業数字を叩き出していても、チームワークを乱したり、コンプライアンスを軽視したり、他者を尊重しない行動をとった人間は、社内で昇進できません。数字の達成度(What)と同じ重みで、どのように達成したか(How)が厳密に査定されるため、内省的で高い倫理観を持たない人材は組織内で居場所を失う構造になっています。