現在、肩関節医療の現場における進化は目覚ましいものがあります。かつて腱板の診断には高額なMRI検査が必須とされていましたが、昨今では整形外科の最新診断と治療法の主役として、高性能な運動器超音波(エコー)検査が外来の標準装備となっています。MRIと同等以上の空間分解能を持ち、わずか数分で診察室の中で腱の断裂幅や滑液包の炎症をリアルタイムかつ動的に描出可能です。患者自身が画面を見ながら「腕を動かしたときに腱がどこで引っかかっているか」を確認できるため、診断の納得感は飛躍的に向上しています。
治療の選択肢も大きく広がっています。完全断裂に至っていない軽微な損傷や炎症期に対しては、エコーを見ながらピンポイントで炎症部位に注射を行う「ハイドロリリース(筋膜間液体剥離)」や、自身の血液から抗炎症成分を抽出して組織修復を促す「PRP(多血小板血漿)療法」といった再生医療的アプローチが実用化され、保存療法の選択肢が増加しました。
保存療法を3〜6カ月継続しても生活に著しい支障がある場合や、活動性の高い若年層・肉体労働者の断裂には手術が検討されます。現代の手術は、肩に1cm前後の小さな穴を数カ所開けて行う「関節鏡視下腱板修復術」が主流です。筋肉を大きく切開しないため術後の組織侵襲が極めて少なく、特殊な糸付きアンカー(生体吸収性素材)を用いて切れた腱を元の骨へ強固に再固定します。入院期間も数日から1週間程度へと短縮され、術後の早期リハビリテーションプロトコルも確立されています。