受診者が最も落とし穴にはまりやすいのが、「病院なのだから一通りの検査をして、治るまでの薬を出してくれるはず」という思い込みです。南加賀急病センターの運用規定には、明確な制限事項が定められています。
- 薬の処方は原則「1日分」(休前日の場合は休みの期間分のみ):
急病センターでの処方は、翌日のかかりつけ医受診までの「つなぎ」に過ぎません。抗生剤を長期間分処方したり、数週間分の慢性疾患薬を交付することは制度上不可能です。 - 血液検査やCTなどの精密検査は原則非対応:
インフルエンザ等の簡易抗原定性検査などは状況に応じて行われますが、詳細な血液生化学検査や画像検査を行う検査医療機関ではありません。 - 会社や学校へ提出する「診断書」の発行は不可:
「出勤停止の証明書が欲しい」「学校への治癒証明書を書いてほしい」と要求しても、急病センターで診断書を作成することはできません。翌日以降にかかりつけ医を受診して取得する必要があります。 - 健康診断・予防接種は一切受け付けない:
救急外来であるため、予防医療や定期処方は完全に業務対象外です。
これらの制限は、限られた夜間当直医師(地域の開業医や市民病院の勤務医が交代で担当)が、一人でも多くの急患を公平に診察するための防衛策です。「せっかく夜間に並んだのに1日分しか薬をくれなかった」と現場で詰め寄る受診者が散見されますが、これはセンターの怠慢ではなく、地域医療の制度的規定であることを認識しておく必要があります。