給与所得者である会社員は事業所得者と異なり、経費算入の自由度が制限されています。しかし、税法上に用意された制度を徹底的に網羅することで、年間数十万円規模の税負担を合法的に抑え込むことが可能です。実効性の高い年収1200万の節税対策と控除を整理します。
最優先で活用すべきはiDeCo(個人型確定拠出年金)です。企業年金の形態によって拠出限度額は月額1.2万円〜2.3万円(年額14.4万〜27.6万円)と異なりますが、拠出全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。税率33%(所得税23%+住民税10%)の年収1200万円層であれば、年間拠出額の約3割強に相当する数万円の節税効果が毎年確定で得られます。
また、住宅ローン控除の適用条件を満たしているかも再点検が必要です。合計所得金額2000万円以下の要件はクリアしているため、省エネ基準適合住宅などの要件に合致していれば、年末ローン残高に応じた税額控除を13年間にわたって享受できます。所得控除ではなく「税額控除」であるため、手取り回復へのインパクトは絶大です。
さらに、家族全員の医療費が年間10万円を超えた場合の「医療費控除」(自由診療の歯列矯正やインプラント、出産費用も対象)や、就業に直結する資格取得費用を計上できる「特定支出控除」の可能性も捨ててはなりません。副業が認められている環境であれば、業務委託等による事業所得を立ち上げ、適正な経費計上と青色申告特別控除(最大65万円)を活用するスキームも有力な選択肢となります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
年収1200万円という立ち位置は、家計の運営方針ひとつで「富裕層への助走」にもなれば「破綻寸前の自転車操業」にも転落するクリティカルな分水嶺です。自らの家計属性を見極めるための明確なチェック基準を提示します。
【着実に資産を拡大できる世帯の条件】
- 住居費を毎月の手取り月額の25%以下(15万〜18万円以内)に抑えている
- 子どもを私立に通わせる場合でも、学費のピーク時を逆算して金融資産1500万円以上をキープしている
- 新NISAやiDeCoなど、非課税運用制度を夫婦の投資枠上限まで最速で埋め立てている
- 周囲の見栄やステータス消費に惑わされず、自分なりの費用対効果でモノを購入できる
【生活苦・家計破綻に陥りやすい世帯の条件】
- 「年収1200万だから何とかなる」と過信し、借入額8500万円以上の住宅ローンを変動金利で組んでいる
- 配偶者控除や高校無償化の打ち切りを計算に入れず、子ども全員を私立・中学受験のフルコースに乗せている
- 年俸制やボーナス依存度が高く、ボーナスが出ないと毎月の赤字を補填できない収支構造になっている
- ふるさと納税や各種控除の手続きを「面倒だから」と放置している