本作の重厚感を決定づけているのが、ベテラン俳優である白竜と塩見三省の鬼気迫る競演です。この2人が画面に登場するだけで、映画全体の緊張感が一段と引き締まります。
白竜演じる仙波英俊は、かつて東京でホステス殺害事件の犯人として逮捕され、服役を終えた男。劇中では言葉数こそ少ないものの、やつれた身体と憂いを帯びた眼差しだけで、彼が背負ってきた過酷な運命と成実に対する無償の愛を表現しました。
対する塩見三省演じる元刑事・塚原正次は、定年退職後もなお16年前の事件に疑念を抱き、真実を追い求めて単身玻璃ヶ浦へと乗り込みます。塩見三省の持つ愚直で骨太な刑事像があったからこそ、彼の不慮の死が物語の強烈な推進力となり、湯川学を本格的な推理へと駆り立てる説得力を生み出しました。