『千と千尋の神隠し』の音楽を語るうえで、主題歌「いつも何度でも」と「いのちの名前」の立ち位置の違いを整理しておくことは欠かせません。この2曲は、制作の経緯や作曲者が明確に異なります。
映画のエンドロールを飾る公式主題歌「いつも何度でも」は、木村弓が自ら作曲し、覚和歌子が作詞を手がけた楽曲です。もともとは宮崎駿監督が企画していた別のアニメーション企画のために書き下ろされたものでしたが、企画がお蔵入りとなった後、宮崎監督が制作中の『千と千尋の神隠し』の世界観に合致すると確信し、主題歌に抜擢されました。
対して「いのちの名前」は、久石譲が作曲した映画のオープニングや重要な場面で流れるテーマ曲「あの夏へ(One Summer's Day)」のメロディに、覚和歌子が後から詞を乗せた楽曲です。映画本編中ではボーカル曲としては流れず、インストゥルメンタルとして千尋の冒険を支える劇中曲でありながら、イメージソングおよびタイアップ曲として世に送り出されました。