スケートボードカルチャーが商業化の波に呑まれ、巨大アパレル資本によるロゴの再生産が繰り返されていた2010年代初頭、スウェーデンから突如現れたのがPolar Skate Coでした。Polar Skate Co人気の理由を語る上で欠かせないのは、創設者であるポンタス・アルヴの経歴と、彼が貫き通してきた極めて純度の高いDIY美学です。
1980年生まれのポンタス・アルヴは、かつてアメリカのプロスケートボードシーンに身を置きながらも、商業主義に染まる業界のシステムに強烈な違和感を抱き帰国しました。マルメの廃墟や空き地にセメントを自ら流し込んで独自のDIYプレイスポットを築き、自主制作映画『In Search of the Miraculous』(2010年)で世界の度肝を抜いた彼の足跡は、ストリート表現者としての伝説となっています。報道陣やカルチャー誌の取材に対し、ポンタス自身が「他人が作ったルールに従うくらいなら、自分たちの手で街の隙間に居場所を作る」と語った通り、自立と反骨の精神こそがブランドの通奏低音となっています。
2011年にブランドを旗揚げして以降、アパレルやデッキにプリントされるグラフィックには、彼自身のアートワークや親交の深いアーティストたちのドローイングが惜しみなく注ぎ込まれてきました。大衆迎合的なグラフィックとは一線を画す、シュルレアリスムやロシア構成主義を思わせる独特のダークトーンとウィットは、「着る者のカルチャーリテラシーを刺激する記号」として機能しています。単なる服を買うのではなく、背後にあるオルタナティブな生き方そのものに共鳴する――この熱狂的な信憑性こそが、ブランドが支持を集める核心です。