試写会に立ち会った映画関係者の多くが口を揃えるのは、実話に基づく重厚な質感だ。まるで良質なドキュメンタリー映画を観ているかのような臨場感でありながら、内質は人の心の機微を緻密に掬い取った濃密なヒューマンドラマとして成立している。戦場の悲惨さだけを強調するのではなく、そこに生きる人々の喜びや葛藤を丁寧に描く手法が、観客の感情を揺さぶる。
日本映画製作者連盟の最新レポートでも指摘されている通り、近年の国内市場はアニメや人気IPへの依存傾向が続いていた。しかし、本作のような実在の人物に基づく本格的ドラマが世界中で絶大な視聴数を記録しつつある現状は、停滞感が漂っていた日本の映画産業全体にとっても大きな刺激であり、実写コンテンツ復権に向けた確かな足がかりとなるだろう。