日本国内において、この概念が一気に認知を高めた大きな転機がある。NHKで放送された土曜ドラマ『恋せぬふたり』だ。岸井ゆきのと高橋一生がダブル主演を務めた本作は、他者に恋愛感情も性的欲求も抱かない二人が同居生活を始める様子を描いた異色のヒューマンドラマとして社会的な反響を呼んだ。
従来のマスメディアでは、恋愛を成就させることが「幸福の到達点」として描かれがちだった。しかし、劇中で岸井ゆきのが演じた主人公・咲子と、高橋一生が演じた羽菜の淡々とした、けれど確かな信頼関係は、「恋愛を前提としない家族やパートナーシップの形」の可能性を堂々と提示した。この作品のヒットは、マスメディアが当事者の存在を丁寧に描写した金字塔と言える。