脚本を手掛けた岡田惠和の手腕は、劇中のセリフ一つひとつに息づいている。悪人のいない優しい世界観を作り出しながらも、人間の孤独や愛おしさを深く掘り下げる台詞回しは流石の一言だ。制作陣の裏話によれば、演者の人間性を活かした当て書きも多く、現場の温度感がそのまま画面に滲み出ていたという。
脇を固めるキャスト陣の熱演も凄まじい。越前さんに密かな思いを寄せる同僚・田中くんを演じた丸山隆平は、切なさとユーモアの絶妙なバランスで物語の清涼剤となった。さらに、越前さんの弟・ひろし役として出演していたのが、当時はまだ若手だった菅田将暉だ。どこか頼りなくも姉を思いやる弟の姿を瑞々しく演じており、現在の活躍へと繋がる圧倒的な原石の輝きを垣間見ることができる。