アルゼンチンのフットボール史には、時代を象徴する2人の不世出の天才が存在します。ディエゴ・マラドーナとリオネル・メッシです。
1986年メキシコ大会準々決勝のイングランド戦で見せたマラドーナのプレーは、今なお語り継がれる伝説です。空中の競り合いで左手を使ってゴールへ押し込んだ「マラドーナ 神の手」ゴールと、直後にピッチ中央から5人を抜き去って決めた「世紀のゴール」。光と影を併せ持つマラドーナの圧倒的なカリスマ性は、アルゼンチン国民の誇りそのものとなりました。
一方、21世紀の絶対王者として君臨したメッシは、クラブレベルで無数の栄冠を手にしながらも、代表チームでは長年タイトルに見放され、母国ファンからマラドーナと比較され続ける重圧を背負ってきました。2014年大会の準優勝をはじめ、あと一歩で涙を呑み続けたメッシが、自らのキャリアの集大成として掴み取ったカタールでの戴冠は、アルゼンチンフットボールが長年抱えてきた呪縛を解き放つ歴史的瞬間となったのです。