2010年代に入ると、社会の闇と極限の無償の愛を描くヒューマンドラマが大きな脚光を浴びる。その最高峰として語り継がれるのが、日本テレビ制作の『Mother』である。虐待を受ける少女・継美(つぐみ)を演じた芦田愛菜の演技は、当時わずか5歳という年齢を完全に忘れさせるほどの圧倒的なリアリティを誇っていた。
言葉を飲み込む瞬間の瞳の揺らぎ、声にならない泣き顔。彼女が見せた感情の制御と表現力は、国内外の劇評家から絶賛され、ドラマ自体の重厚なテーマ性と相まって国際的な評価を獲得。後に複数の国でリメイクされる世界的コンテンツへと結実した。単なるお涙頂戴の悲劇ではなく、母性とは何か、家族とは何かを問い直すシナリオが、幼き天才演者の存在によって完成した瞬間だった。