インフルエンザの潜伏期間は一般的に1日から3日、長くて5日程度とされる。問題はこの間、本人に自覚症状がなくてもウイルスを排出している可能性が指摘されている点だ。実際、2000年代以降の感染症疫学データでは、発症の約24時間前からウイルス量が上昇し始めるとの研究報告が複数ある。
つまり「今朝は元気だから大丈夫」という判断は、医学的には必ずしも安全とは言い切れない。職場に高齢者や基礎疾患を持つ同僚、妊娠中の社員がいれば、症状がないまま出勤した人が感染源になるリスクは否定できない。とくにオープンオフィスや対面接客を伴う職種では、「症状がない=無症状」ではなく「症状が出ていないだけ」と捉えるのが2026年の標準的な感染管理の発想だ。
一方で、家庭内にインフル患者がいるからといって全員が感染するわけでもない。国立感染症研究所の過去の家庭内二次感染率データでは、ワクチン接種歴や換気状況、患者との接触時間によって20〜40%程度の幅がある。この数字をどう受け止めるかで、出勤判断は変わってくる。