黒野駅レールパークを象徴する最大のランドマークが、静態保存されている名鉄モ512展示車両です。1926年(大正15年)に製造され、特徴的な楕円形の戸袋窓から「丸窓電車」の愛称で親しまれたこの名車は、かつて名鉄美濃町線や揖斐線・谷汲線を駆け抜けた岐阜の鉄道史を語る上で欠かせない存在です。
真紅と白のツートンカラーに美しく再塗装された車体は、当時の職人技とレトロモダンな意匠を現代に伝えています。車内公開イベント時や外観の鑑賞時にも、当時の座席配置や運転席の計器類が克明に残されており、鉄道ファンのみならず当時の通学・通勤で利用していた世代からも深いノスタルジーを呼び起こしています。
旧駅舎の2階部分に整備された黒野駅ミュージアムでは、当時の駅名標、行先表示板、改札鋏、制服、さらには精巧な鉄道ジオラマや貴重な記録写真が多数展示されています。入館無料でありながら資料館としての密度は極めて高く、地域の交通インフラが果たしてきた社会的役割を学ぶ教育的価値も兼ね備えています。
さらに1階部分には、地元の素材を取り入れた軽食や淹れたてのコーヒーが味わえる黒野駅レールパーク カフェが営業しており、旧駅舎特有の木の温もりを感じながらゆったりとした時間を過ごすことができます。かつて切符が切られていた改札口の面影を眺めながら味わう一杯は、他では得られない格別の情緒を提供しています。