ネット上やプロレスファンの間で「都市伝説ではないか」と囁かれることも多い藤原組長 熊 真相ですが、結論から言えば本物のヒグマと対峙し、組み合ったのは紛れもない事実です。
この前代未聞の対決が行われたのは、1990年代初頭、藤原が旗揚げした「プロワレス藤原組」の活動期でした。当時、UWFの分裂を経て誕生した藤原組は、船木誠勝や鈴木みのるら若き精鋭を擁し、従来のプロレスとは一線を画す「真剣勝負のリアリズム」を追求していました。その中で、団体の看板であり絶対的な実力者であった藤原喜明が、北海道のロケ・合宿企画の一環として熊牧場のヒグマと直接グラップリングを行うという常軌を逸した挑戦が持ち上がったのです。
対峙した相手は、体重数百キロにおよぶ巨大なヒグマでした。もちろん安全上の最低限の措置として口輪などは施されていたものの、前足の一撃で人間の頭蓋骨を粉砕する野生のパワーはそのままの状態です。周囲のスタッフや関係者が恐怖で息を呑む中、藤原は普段の道場マッチと同じように身一つで檻の中へと足を踏み入れました。
「プロレスラーが最も強い職業でなければならない」という強烈な自負を抱いていた藤原は、決して単なる見世物としてではなく、「人間の関節技は果たして猛獣の骨格に対しても機能するのか」という格闘家としての純粋な探求心から熊の巨体に組み付いていったのです。