火垂るの墓の清太はなぜ働かず死んだのか?7000円の謎とクズ批判の真相

火垂るの墓の清太はなぜ働かず死んだのか?7000円の謎とクズ批判の真相

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映画『火垂るの墓』を読み解く上で欠かせないのが、原作者である作家・野坂昭如氏の自伝的体験との対比です。劇中の清太は「妹を愛し、最後まで献身的に守ろうとした心優しい兄」として描かれますが、野坂氏の実体験ははるかに過酷で、罪悪感に満ちたものでした。

野坂氏は戦時中、福井県へ疎開した際に、義理の妹である恵子ちゃん(当時1歳4ヶ月)を餓死させています。自著や生前のインタビューにおいて、野坂氏は次のような生々しい告白を遺しています。

「ぼくはあんな優しい兄貴じゃない。泣き叫ぶ妹の頭を殴りつけ、妹にやるはずの飯を自分が食って生き延びた」

極限状態の飢餓において、野坂少年は妹の配給食料を奪って自らの命を繋ぎました。衰弱していく妹を見舞うどころか、煩わしく思い、死んだときには「これで重荷が取れた」と安堵する感情すら抱いたといいます。

小説『火垂るの墓』は、美談を描くための作品ではなく、「妹を殺して生き残ってしまった自分自身に対する終生の贖罪」として書かれた文学でした。清太というキャラクターは、野坂氏が「こうありたかった、しかし決してなれなかった理想の兄」を投影した虚像であり、同時に自分を裁くための身代わりでもあったのです。

小林 直樹
著者

小林 直樹

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