歌舞伎界には多くの「家」が存在するが、中村梅雀の一族が所属する「前進座」は極めてユニークな組織だ。通常の歌舞伎界のような厳格な家元制度や世襲制とは一線を画し、共同体としての運営を行ってきた。この環境が、梅雀に「特権階級としての役者」ではなく、「一人の表現者」としてのフラットな視点をもたらしたと言える。
家系図を眺めると、血のつながりだけでなく、前進座という志を同じくする同志たちとの「精神的な絆」が色濃く反映されていることが分かる。血統主義に縛られすぎない柔軟さこそが、彼が現代劇や映像の世界でこれほどまでに重宝される理由なのだ。