ネット空間で爆発的な広がりを見せるネットミームの元ネタを探ると、多くはアニメやゲーム、あるいは掲示板の書き込みに行き着きます。しかし「やりますねぇ」の発生源は、それらとは一線を画すアンダーグラウンドな領域にありました。
このフレーズの元ネタは、2001年にリリースされた男性向け成人ビデオ作品『真夏の夜の淫夢』第4章におけるワンシーンです。作中で誰のセリフだったのかといえば、登場人物の一人である後輩役(ネット上の通称:遠野)が、先輩役(通称:野獣先輩)との会話の中で発した相槌の一言が直接の由来にあたります。屋上のプールサイドで先輩からアイスティーを勧められ、その冷たさや準備の良さに感嘆した際に出た台詞が「冷えてるか~?」「やりますねぇ!」という掛け合いでした。
2000年代後半から2010年代にかけて、動画投稿サイト「ニコニコ動画」のサブカルチャー圏(いわゆる「例のアレ」ジャンル)において、この台詞を切り取ったMAD動画や音MADが大量に制作されました。これらの一連の台詞群は語録・ネット用語として体系化され、独特のイントネーションとともにネットユーザーの記憶へ深く刷り込まれていくことになります。
本来であれば極めて限定的なアングラコミュニティ内部のジャーゴンにとどまるはずだったこの言葉は、動画文化の成熟と配信プラットフォームの移行に伴い、驚くべき変容を遂げていくことになります。