ネット上の旅行記やSNSを見ていると、「食べ歩き」という言葉の響きから「街中を歩きながら飲食しても問題ない」と誤認しているケースが見受けられます。しかし、倉敷美観地区は国選定の「重要伝統的建造物群保存地区」です。白壁の漆喰や歴史的な石畳への飲食物の付着、食べこぼしによる景観被害を防ぐため、現地では「購入した店舗のイートインスペースや店先のベンチで飲食し、歩きながらの移動中は食べない」ことが共通のマナーとして定着しています。
観光社会学や環境行動論の観点からも、観光客と地域住民が共生するための「レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)」の意識が強く求められています。特に美観地区内は景観保全のため路上ゴミ箱の設置が極力制限されているため、購入店でゴミを引き取ってもらうか、各自で持ち帰る配慮が欠かせません。
もう一つの大きな落とし穴が「17時の壁」です。大都市圏の繁華街と異なり、美観地区の飲食・物販店舗は17:00〜18:00に一斉に閉店します。夕方から訪れても「名物がほとんど売り切れていた」「テイクアウトの受付が終了していた」という事態に陥りやすいため、食べ歩きをメインにする場合は遅くとも14:00〜15:00には現地に到着しておく計画性が不可欠です。また、月曜日は一部施設や個人経営のカフェが定休日を設定していることが多いため、曜日別の営業確認も忘れてはなりません。