ゲーム業界において、2Dドット絵から3Dモデルへの移行は多くのシリーズが通った道ですが、ポケモンの場合は単なる時代の流れにとどまらない開発現場の必然的な理由が存在しました。ファンの間では「制作コストの削減ではないか」「作業の簡略化ではないか」といった声も一部で囁かれましたが、開発スタッフの公式証言や制作体制の分析からは全く異なる真実が浮き彫りになります。
ポケモンが3D化へ舵を切った最大の理由は、ニンテンドー3DSという立体視ハードへの対応と、「ポケモンを記号ではなく、目の前で息づくひとつの生命体として描く」というシリーズ本来の思想を実現するためでした。当時の開発ディレクター陣がインタビュー等で明かした通り、立体的な空間を自在に駆け巡るカメラワーク、迫力ある技のエフェクト、そして「ポケパルレ」に見られるようなプレイヤーとの直接的なスキンシップ表現は、平面の2Dドット絵では構造的に限界に達していたのです。
さらに、ポケモンの総数が第6世代時点で700種類を突破していたことも大きな転換点となりました。後述する『BW』のように全ポケモンを動くドット絵で表現し続けることは、新規ポケモンの追加やメガシンカといった新システムの実装において、開発リソースの物理的限界を超えつつありました。結果として、クリーチャーズが中心となって全ポケモンのハイクオリティな3Dモデルをゼロから構築する一大プロジェクトが決断されたのです。